PTSDを治療する方法

共同執筆者 Trudi Griffin, LPC

心的外傷後ストレス障害(PTSD)とは、大きな精神的ショックや恐怖(トラウマ)をともなう経験をした後に発症する症状をいいます。衝撃的な出来事にたいして恐怖や恐れの気持ちを抱くのは普通ですが、PTSDを抱える人は、参ってしまうほどの強い恐怖感と負の感情をいだきます。この症状は、トラウマ経験から数ヶ月以内に始まるようです。[1] PTSDの症状があると思われる場合は、まずは診断を受け、心理療法を受けたり薬を服用したりして治療を開始します。

3の方法1:
PTSDの症状を認識する

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    まずはPTSDの症状を認識する まずはPTSDの症状を認識することが回復への唯一の方法です。そもそも認識しない限りは、治療が開始できないからです。PTSDであるかどうかわからない場合は、次に記す主な4つの症状を確認してみましょう。[2][3]
    • トラウマ経験についての不愉快な感情とイメージを何度も思い出す
    • 嫌な経験について考えたり話したりしないようにするなどの、回避したい気持ちがある
    • 騒音などに対してかなり敏感である
    • 無感情になったり、将来について悲観的になったり、一度は楽しんだ活動への興味を失ったりするなど、考え方や感じ方に良くない変化がある
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    トラウマを再体験した瞬間を観察する 再体験の症状によって、患者は当時抱いていた感情を鮮明に思い出し、精神的にトラウマ経験の現場に引き戻されます。それをフラッシュバックとも呼びますが、フラッシュバックによって患者は、負の感情を引き起こされ、現在の状況の認識ではなく、トラウマ経験の記憶の再生を優先してしまいます。[4]
    • フラッシュバック、悪夢、および、恐怖によって引き起こされる非論理的な思考も再体験といえます。
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    回避症状を認める 回避症状とは、トラウマ経験の特定の部分を意図的に思い出さないようにする症状です。これは、この経験を単に忘れてしまっている状態ではなく、このトラウマがすべて消え去ることを期待して記憶に意図的に蓋をしている状態を指します。[5][6]
    • 回避症状は、トラウマ経験を得た場所に行くことや、その経験の一部となった人に会うこと、また、そのときのことを想起させる物の周りにいることへの拒否という形で現れるときがあります。
    • 回避症状は無感情という形で現れることもあります。これはトラウマ経験を得たときの感情を心から締め出すための反応です。
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    感覚過敏の症状に気づく PTSDの患者はたいてい感覚過敏の症状に陥っています。感覚過敏は、言わば常にピリピリしている感覚です。大きな音や、人や物の突然な動きによってこの感覚が始まります。ちょっとした出来事に対して過剰に感情的な反応を示す場合もあります。[7]
    • 感覚過敏によって睡眠障害を併発する場合があります。とても小さな音によって目覚めてしまい、眠っている時間すら意識が半分覚醒しているような感覚を持ってしまうこともあります。
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3の方法2:
心理療法による治療

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    心理療法での治療を検討する 心理療法を受ける間、PTSDを引き起こしたトラウマ経験についての考えや感情を表現します。最も一般的な心理療法は認知行動療法(CBT)です。認知行動療法によって目指すのは、トラウマ経験についての否定的な考えを克服することです。代わりに、より肯定的で合理的思考に基づいた解釈に変えていくことを目指します。[8]
    • 会話を元にした心理療法は通常12週間以上続きますが、多くの場合、患者が完全にPTSDを克服したと感じるようになるまで無期限に続きます。
    • 心理療法は一対一であるいはグループで行うことができます。たいていの場合、家族全員の理解とサポートが必要です。家族の参加がメリットになるようなら、家族に一緒に来てくれるように頼みましょう。
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    心理療法の有効性を理解する 心理療法の中でも特に認知行動療法は、心理的な問題に直接働きかけるため、効果が高い方法です。認知行動療法によって患者は、PTSDを患いながらも自分の生活をどう管理していくかについて実践的なアドバイスが得られるため、効果があります。 [9]
    • 心理療法は、トラウマに対して抱く、恥や怒り、罪悪感などの本当の気持ちを整理するのに役立ちます。
    • 会話を元にした心理療法によって、トラウマに対して負の感情を持つ理由がわかり、負の感情を克服する方法を知ることができます。
    • また、トラウマを想起させる人や場所、ものに対して、健康的に反応する方法を知ることもできます。
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    暴露療法を試す この種の治療法は認知行動療法(CBT)の一種で、恐れや記憶に正面から向き合うことに焦点をあてています。安全性が保証されている方法で、あえてもう一度トラウマにさらされることによって、恐れの気持ちと容易に向き合えるようになります。この療法で目指す究極の目標は、トラウマの記憶にとらわれたときに感じる、恐れや精神的苦痛への対処法を学ぶことです。暴露療法を通して、嫌な記憶をどのようにコントロールするかを学び、記憶は恐れるべきものではないということを理解できるようになります。[10]
    • トラウマの心的イメージを描き出す、トラウマの出来事が起こった場所を訪れる、トラウマの原因となった経験について書くなどの行為はすべて、暴露療法の1つです。
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    認知再構成法をためす 認知再構成法はトラウマ経験を、より合理的で論理的な視点から見る方法を会得できる、認知行動療法の技術です。認知再構成法によって、自分に起きた現実をそのままの形で整理して理解することで、PTSDを持つ人が一般的に感じがちな罪悪感から逃れられるでしょう。PTSDに苦しむ人は、トラウマ経験に対し恥を感じ、自分を責める傾向にあります。認知再構成法によって、自分のせいではないと知ることができます。[11]
    • 自分の否定的な考え方の正確性を検証するなど、自宅で試せる認知再構成法もいくつかあります。たとえば、自分がトラウマ経験を何度も繰り返し思い出し、反すうしていることに気付いたら、どんなときに思い出しがちであるか、何度も繰り返し思い出すことが実際の問題解決に役立ったかどうかを考えてみます。[12]
    • または、実際の行動を通して自分の考えの妥当性を検証してみてもよいでしょう。たとえば、運動する時間がないという言い訳がある場合は、15分間運動してみます。そうすれば、人生の他の重要な部分に対しても時間がないと思っていても、実際はあるかもしれないことに気づけます。[13]
    • この種の心理療法は、トラウマ経験が引き金になった自分自身に対する否定的な感情をお仕舞いにし、克服するのに役立ちます。
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    ストレス免疫訓練を受ける これも認知行動療法の一種であり、不安をコントロールする方法がわかるようになります。単に記憶を再構築するだけではなく、トラウマ経験に対して、より健康的な捉え方を作り出せるようになります。[14]
    • この治療は、PTSDによる不安や気持ちの落ち込みを感じる前に、トラウマ経験に対する見方を再形成するのに役立ちます。
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    集団療法を試す 集団療法からもっとも高い効果を得る人もいます。集団療法では、同様の経験を克服したか、克服しようとしている仲間との出会いが得られます。自分と同様の経験を持つ人と話すことによって、自分の感情を合理的に整理することができ、自分は決して一人ではなく、普通だという気持ちが得られます。[15][16]
    • 集団療法では、自分のトラウマ経験と、トラウマが与えた生活や感情への影響について話し合います。人の話を聞けば、トラウマ経験がもたらす、恥、罪悪感、そして怒りの感情を和らげることができます。
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3の方法3:
投薬による治療

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    心理治療と薬を組み合わせる 投薬か心理療法のどちらか一方を行うより、両方とも行う方が効果的です。PTSDを克服するためには、トラウマ経験について誰かに話すことは大切なことです。薬の服用でPTSDの症状は治療できますが、根治的なアプローチではありません。[17][18]
    • 心理療法を用いて問題の根源にたどり着かずしてPTSDの症状を治療すると、後々副作用が現れるかもしれません。たとえば、薬の服用によりPTSDの症状が出なくなったため服用を中止したとします。薬の服用を止めたあとに、否定的な感情を再体験すると、また始めから治療をやり直しということになります。
    • 認知行動療法はPTSDの治療に非常に効果があるため、セルトラリンの服用薬の有効性を試験している最中の患者は、認知行動療法を受けることができません。テスト結果に認知行動療法の強い影響がみとめられるからです。[19]PTSDの治療には薬の服用が非常に役立つ場合がありますが、治療にはむしろ認知行動療法が不可欠であることがわかります。
    • 抗うつ剤が効かない人もいます。抗うつ剤はPTSDの症状を最小限に抑えることには役立ちますが、根治的な治療は望めません。[20]PTSDの症状は薬を服用してさえも持続する可能性があるので、心理療法はとても重要です。
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    パロキセチンについて医師に相談する パロキセチンは抗うつ剤であり、PTSDの症状の抑制が可能です。パロキセチンは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)であり、セロトニンの再取り込みを阻止し、脳の特定の部分のセロトニンレベルを効果的に高めます。研究[21]によってパロキセチンによりPTSDの症状が改善する場合があることがわかっています。
    • パロキセチンは、落ち込みや不安の症状、睡眠障害や集中力の問題を治療するのに役立ちます。[22]
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    セルトラリンの処方箋をもらう セルトラリンも選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)です。抗うつ薬なのでPTSDの患者に用いられます。[23]セルトラリンは、次のようなPTSDの症状を改善するのに役立ちます。
    • 気分の落ち込み、不安、そして睡眠障害
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    SSRIの副作用に注意する これらの薬はPTSDの症状を改善するのに非常に効果的ですが、他の副作用も引き起こす可能性があります。[24][25]副作用は次のとおりです。[26]
    • 吐き気:この症状はしばしば2〜5日で消えます。
    • 頭痛:これはよくありがちな副作用です。頭痛は一般的に数日で治まります。
    • 不安:神経質になったり落ち着かなかったりします。
    • 眠気:眠気を感じた場合、処方量が多すぎる可能性があります。単に薬を飲む時間帯を変えれば解決することもあります
    • 不眠症:SSRIの副作用ですが、処方量を減らすと、解決できることがあります。
    • 性的欲求の減退:SSRIの投与によって性欲の減退を招き、性行為への喜びが低下することで知られています。
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ポイント

  • 自分を支援してくれる環境を作るためにも、家族に心理療法にきてもらえるかどうか頼んでみましょう。
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注意事項

  • 新しく薬を服用する場合、必ずかかりつけ医に相談しましょう。
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このwikiHow記事について

認定カウンセラー
この記事はTrudi Griffin, LPCが共著しています。 トゥルーディ・グリフィンはウィスコンシン州に住む認定カウンセラーです。2011年にマーケット大学にて臨床精神衛生カウンセリングの修士号を取得しています。
  1. http://www.nimh.nih.gov/health/publications/post-traumatic-stress-disorder-ptsd/index.shtml
  2. http://www.psychologytoday.com/blog/in-practice/201301/cognitive-restructuring
  3. http://www.psychologytoday.com/blog/in-practice/201301/cognitive-restructuring
  4. http://www.psychologytoday.com/blog/in-practice/201301/cognitive-restructuring
  5. http://www.makingthemodernworld.org.uk/learning_modules/psychology/07.TU.09/?section=6
  6. Foa, E., Keane, T., Friedman, M., Cohen, J. Effective Treatments for PTSD. 2010
  7. http://www.rehab.research.va.gov/jour/2012/495/pdf/sloan495.pdf
  8. http://www.helpguide.org/articles/ptsd-trauma/post-traumatic-stress-disorder.htm#treatment
  9. http://psychcentral.com/lib/an-overview-of-treatment-of-ptsd/
  10. http://pro.psychcentral.com/ssris-for-ptsd-just-how-effective-are-they/001968.html#
  11. http://www.sidran.org/resources/clinicians-guide-to-medications-for-ptsd/
  12. http://pro.psychcentral.com/2013/ssris-for-ptsd-just-how-effective-are-they/001968.html#
  13. http://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/post-traumatic-stress-disorder/basics/treatment/con-20022540
  14. http://pro.psychcentral.com/ssris-for-ptsd-just-how-effective-are-they/001968.html#
  15. Wilson, J., Friedman, M., Lindy, J. Treating Psychological Trauma and PTSD. 2012
  16. http://www.nhs.uk/Conditions/SSRIs-%28selective-serotonin-reuptake-inhibitors%29/Pages/Side-effects.aspx
  17. http://www.nimh.nih.gov/health/publications/post-traumatic-stress-disorder-ptsd/index.shtml#pub9

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