血中酸素濃度を測定する方法

共同執筆者 Tapan Abrol, MD

血液中の酸素量を測るには、パルスオキシメーターによる測定と動脈血ガス分析の2種類の方法があります。[1]通常、健康な人の血中酸素飽和度は97~99%です。[2] 血液中の酸素量が低下した状態を「低酸素血症」といいます。[3]健康診断や医療処置の一環として、医師はしばしば血中酸素濃度測定を勧めます。中でも、パルスオキシメーターの装着や動脈血ガス分析は広く行われています。動脈血ガス分析が極めて正確な測定を可能にする一方、パルスオキシメーターは正確さでは劣るものの、血中酸素濃度の変化を長時間にわたって監視することができます。[4][5]

2の方法1:
動脈血ガス分析による測定

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    医療者に連絡を取り、動脈血ガス分析を依頼しましょう。かかりつけの医師または他の医療者は、最新の技術や医療器機を使ってみなさんの血中酸素濃度を測定します。血中酸素濃度測定は通常手術や他の医療処置の前に行われますが、以下の条件に該当する場合にも血中の酸素量をチェックする必要があります: [6][7]
    • 睡眠時無呼吸
    • 心臓発作または鬱血性心不全
    • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
    • 貧血症
    • 肺癌
    • 喘息
    • 肺炎
    • 嚢胞性線維症
    • 現在すでに人工呼吸器を装着している、または呼吸困難により将来的な人工呼吸器の装着が必要な場合
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    検査の準備をしましょう。[8] 動脈血ガス分析は極めて一般的で安全性の高い検査方法ですが、検査の手順を覚えておけばさらに安心できるでしょう。検査の手順についてしっかりと説明を聴き、分からない点があれば医師に尋ねましょう。また、以下の条件に該当する場合は、事前にその旨を伝えましょう:
    • 出血性障害がある、または出血性障害の病歴がある
    • アスピリンやワファリンなどの血液希釈剤(抗凝血剤)を服用している
    • 投薬治療を受けている
    • 特定の薬剤や麻酔薬へのアレルギーがある
  3. 3
    リスクを理解しましょう。動脈血ガス分析は極めて一般的な検査方法です。深刻な問題を引き起こすケースはほとんどありません。[9] ただし、以下のような軽い症状が現れる場合があります:
    • 採血に伴い、動脈注射による傷跡が残る場合があります。針を抜いた後10分ほど注射箇所を圧迫しておけば、傷跡が残りにくくなります。
    • 動脈から血液を抜く際に意識朦朧・めまい・吐き気を覚える場合があります。
    • 注射箇所から出血が続く場合があります。とりわけ、出血性障害を抱えていたり、アスピリンやワファリンなどの血液希釈剤を服用している場合は注意が必要です。
    • 動脈閉塞の危険もあります。注射針が神経または動脈を傷つけると、動脈が閉塞を起こす場合があります。もっとも、これは極めてまれなケースです。
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    医療者に採血箇所を選んでもらいましょう。血中の酸素量を測るには、動脈からの採血が必要です。手首の動脈(橈骨動脈)からの採血が一般的ですが、場合によっては、鼠径部(大腿動脈)や肘の上(上腕動脈)からも採血が行われます。[10][11]医療者は注射針を使ってサンプルとなる血液を採取します。
    • 採血の間、みなさんは椅子に腰を下ろし、診察台の上に腕を伸ばして横たえます。
    • 医療者はみなさんの手首を触って脈を取り、動脈の血流をチェックします(この過程はアレン試験と呼ばれます)。
    • 腕から透析を受けている場合や、手首に感染症や炎症を抱えている場合は、他の箇所で動脈血ガス分析を行います。
    • 血中酸素濃度測定に動脈血が使用されるのは、酸素が体組織に送り込まれる前に血中の酸素量を測定できるためです。静脈血に比べて、正確な検査結果が期待できます。
    • 現在、酸素療法を受けている場合は、正確な測定値を得るために、医師は検査前に20分間酸素の供給を停止します(酸素吸入なしには呼吸ができない場合を除いて)。
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    医療者に採血をしてもらいましょう。採血箇所が決まれば、担当の医療者はその箇所を消毒し、注射針を使って血液サンプルを採取します。[12]
    • まずは検査箇所の皮膚をアルコールで消毒します。場合によっては、局所麻酔(注射によって)で採血箇所を麻痺させます。
    • 注射針を皮膚に差し込み、シリンジを血液で満たします。血液を抜き取る最中は、落ち着いて普段通りに呼吸をしましょう。局所麻酔を行わない場合は、採血の間、多少痛みを覚えるかもしれません。
    • シリンジが満タンになったら、針を抜き、ガーゼまたは綿球で注射箇所を押さえます。
    • 注射箇所に包帯を被せます。5~10分注射箇所を圧迫して止血しましょう。血液希釈剤を服用していたり、出血性障害がある場合は、さらに長時間の圧迫止血を指示されるでしょう。
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    採血後の指示に従いましょう。[13]前述の通り、動脈血ガス分析は患者に若干の不快感を引き起こしますが、ほどなく回復するはずです。大抵の場合、大きな問題はないでしょう。ただし、検査の直後は、採血を行った腕または脚に負担をかけてはいけません。検査後24時間は、重いものを持ち上げたり、運ぶといった行為は控えましょう。
    • 採血箇所から出血が止まらない場合や、その他予期しない症状が現れた場合は、医師に連絡を取りましょう。
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    血液サンプルは実験室に送られます。採血が完了すれば、本格的な検査のために担当の医療者は血液サンプルを実験室に送ります。サンプルが実験室に到着次第、技術者が専用の機材を使ってみなさんの血液の酸素濃度を測定します。[14]
    • 動脈血ガス分析の結果が出るまでの時間は、血液サンプルが送られた実験室によって異なります。担当の医療者に結果が出る日時を確認することができます。
    • 緊急の場合、とりわけ入院中の場合などは、数分のうちに検査結果を知ることができるでしょう。事前に担当の医療者に結果が出るまでの時間を尋ねておきましょう。
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    検査結果を解析します。血液中の酸素および二酸化炭素の分圧を測定する動脈ガス分析は、パルスオキシメーターが算出する数値に比べて、さらに具体的で有益な数値を医療者に提供します。異常がなければ、酸素測定値は75~100mmHgです(測定値の算出には圧力の単位を使います)。二酸化炭素測定値は38~42mmHgが正常とされています。[15][16] 検査結果の意味について、担当の医療者からみなさんに詳しい説明があるはずです。ちなみに、以下に挙げる様々な条件によって“正常値”は変化します:
    • 現在地の標高
    • 血液サンプルを送った実験室
    • 年齢
    • 発熱または低体温
    • 貧血症など特定の疾患を抱えている
    • 検査前の喫煙
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2の方法2:
パルスオキシメーターで血中酸素を測定する

  1. 1
    医療者に連絡を取ってパルスオキシメーターによる測定を依頼しましょう。パルスオキシメーターは体組織に光を通し、血液中の酸素飽和度(ヘモグロビンと結合した酸素の割合)を測ります。[17] 手術やその他の医療処置の直前、または以下のような場合に血中酸素濃度の測定が必要となるでしょう:[18][19]
    • 睡眠時無呼吸
    • 心臓発作または鬱血性心不全
    • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
    • 貧血症
    • 肺癌
    • 喘息
    • 肺炎
    • 嚢胞性線維症
    • 現在または近い将来、人工呼吸器のサポートが必要とされる場合
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    測定の準備をしましょう。通常パルスオキシメーターによる血中酸素濃度の測定では注射器を使用しないため、必要な準備作業はほとんどありません。[20] ただし、事前に医師から検査についての詳しい説明を聴き、質問があれば尋ねましょう。
    • マニキュアを付けていれば、落とすように指示されるでしょう。
    • みなさんの健康状態や病歴によっては、検査にあたって医師から特別な指示があるかもしれません。
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    リスクを理解しましょう。パルスオキシメーターの使用は、わずかながら危険を伴います。[21] 極めて軽いものですが、以下のような危険を覚悟しましょう:
    • センサー(プローブ)を挟んだ箇所が肌荒れを起こす場合があります。長時間にわたって使用する場合や、繰り返し測定する際には注意が必要です。
    • 喫煙をしたり、一酸化炭素を吸引すると、正確な測定ができません。
    • みなさんの健康状態によっては、医師からさらなる危険についての説明があるかもしれません。
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    担当の医療者にセンサーの設定をしてもらいましょう。血中酸素濃度を測るパルスオキシメーターのセンサー部分は、プローブと呼ばれるクリップ型の器機です。[22] この器機には、発光器と受光器およびマイクロプロセッサーが組み込まれています。片方のクリップに組み込まれた発光器から光が照射され、皮膚を通過した光は、もう片方のクリップに組み込まれた受光器に到達します。受光器が感知した情報を基にマイクロプロセッサーが計算を行い、みなさんの血中酸素濃度を最小限の誤差で算出します。
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    体にセンサーを取り付けてもらいます。通常は、指や耳たぶ、または鼻が検査箇所として選ばれ、センサーが取り付けられます。[23][24] その後、センサーがLEDの光を使ってみなさんの血中酸素濃度を測定します。
    • この検査方法は注射針を使用しないため、痛みもなく、身体に傷が付く心配もありません。[25]
    • ただし、この方法では、動脈血ガス分析ほどの正確な測定は期待できません。場合によっては、両方の検査を行う必要があるでしょう。[26]
    • センサーを装着する際は、検査箇所を大きく動かしたり、小刻みに揺らしてはいけません。また、傷跡の上に装着するのも禁物です。[27] 例えば、爪の下が内出血を起こしている場合、担当の医療者はセンサーを指ではなく耳たぶに取り付けるでしょう。
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    そのままセンサーが測定を完了するまで待ちましょう。センサーに埋め込まれたマイクロプロセッサーが、指や耳といった比較的皮膚の薄い箇所を通して伝達される2種類の光(赤色光と赤外光)の波長を比較します。[28] 血中で酸素と結合したヘモグロビンは、赤外光を吸収しやすくなります。一方、酸素が不足したヘモグロビンは、赤色光を吸収しやすくなります。センサーはこの2つの数値の差異を計算し、血中酸素濃度の算出に必要な情報を提供します。[29]
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    プローブを取り外します。一回の計測で血中酸素濃度を測定する場合は、必要な計測と計算が終わり次第プローブを取り外すことができます。[30] ただし、場合によっては(例えば、特定の先天性心疾患を抱えている場合)、医師はさらなる監視が必要と判断し、しばらくの間プローブを装着したままにするように求めるかもしれません。[31] その場合、医師の指示があるまでプローブを取り外してはいけません。
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    検査後の指示に従いましょう。大抵の場合、パルスオキシメーターによる測定の後に、これといった制約はありません。検査が終わればすぐに日常生活に戻ることができます。[32] ただし、みなさんの健康状態によっては、担当の医師から特別な指示があるかもしれません。
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    検査結果を解析します。パルスオキシメーターによる検査結果が出れば、担当の医師はみなさんと検査結果について話し合います。[33] 酸素飽和度が95%前後であれば正常とみなされます。[34]検査結果の意味について医師から詳しい説明があるはずですが、とりわけ、検査結果に影響を与える要因として以下のようなものが挙げられます:
    • 末梢血流量の低下
    • プローブの発光の度合い
    • 測定中の検査箇所の動き
    • 貧血症
    • 検査箇所の発熱または低体温
    • 検査箇所の発汗
    • 造影剤注射
    • 喫煙
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ポイント

  • 近年、パルスオキシメーターの代わりに、スマートフォンを始め市販の電子機器を使った測定方法が提案されています。[35] これらの方法は未だ開発途上ですが、興味のある人はかかりつけの医師に相談してみましょう。
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このwikiHow記事について

TA
家庭医(かかりつけ医)
この記事はTapan Abrol, MDが共著しています。 アブロル医師はニューヨーク州にあるマウント・シナイ・アイカーン医科大学にて運動障害の研究を行っています。2017年にルイビル大学にて神経学の臨床研修を修了しています。
カテゴリ: 全般的健康
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  4. http://www.uofmhealth.org/health-library/hw2343
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  6. https://www.nlm.nih.gov/medlineplus/ency/article/003855.htm
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  8. http://www.aacn.org/wd/practice/docs/ch_14_po.pdf
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  18. http://www.aacn.org/wd/practice/docs/ch_14_po.pdf
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  26. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3892845/

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