パニック発作を止める方法

共同執筆者 Tapan Abrol, MD

パニック発作は突然発症し、心臓まひかと思うような、死の恐怖や理性の喪失を伴います。成人の大半はパニック発作を生涯に一度か二度経験するのみですが、繰り返し発作に見舞われる人は、パニック障害と呼ばれる精神疾患の可能性があります。パニック発作は明確な理由のない強い恐怖によって突然発症し、心拍数の増加、動悸、発汗、呼吸促迫といった身体症状を伴います。パニック発作を止め、更なる発作を予防するための対策を講じましょう。

パート1(全2パート):発作を直ちに緩和する

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    身体症状を把握する 実際の危険はないにもかかわらず、パニック発作の間は、本当に恐ろしく危険な状況に遭遇しているかのように身体が「闘争・逃走反応」を起こします。[1]パニック発作に伴う主な身体症状は以下の通りです。
    • 胸の痛みや不快感 
    • めまいや失神 
    • 死に対する恐怖 
    • 理性を失う恐怖や差し迫った死に対する恐怖
    • 窒息するような感覚 
    • かい離感 
    • 非現実感 
    • 吐き気やむかつき 
    • 手、足、顔などのしびれやうずくような痛み
    • 胸騒ぎ、心拍数の増加、動悸
    • 発汗、寒気、ホットフラッシュ(顔面紅潮) 
    • 震え、身震い
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    呼吸を整える 一般的に、パニック発作は浅く早い呼吸を引き起こします。それによって発作が悪化し、症状が長引きます。呼吸が安定すれば、心拍数を正常に戻して血圧を低下させるとともに、発汗を抑えて平常心を取り戻すことができます。[2]
    • 呼吸を緩やかにする方法の一つに、深く息を吸い込み、そのままなるべく長く息を止めるというのがあります。それによって酸素と二酸化炭素のバランスを整え、息苦しさを和らげます。[3]
    • 息を止めた後は、深く腹式呼吸をします。ゆっくりと深く息を吸い、さらに時間をかけて息を吐きます。[4]
    • 腹式呼吸を練習するには、イスに座って片手を胸に、もう片方の手を胸郭の少し下に当てます。膝を曲げてゆったりと座り、首と肩の力を抜きます。[5]
    • 次に鼻からゆっくりと息を吸い、胸はなるべく動かさないようにしながら、ゆっくりと腹部を膨らませます。胸部は動かさないようにしたまま、腹筋に力を入れながらゆっくりと息を吐きます。腹部に当てた手で、息を吸う時に腹部が膨らみ、吐く時に元に戻るのを確かめます。胸郭に当てた手はなるべく動かないようにしましょう。[6]
    • それ以外にも、5-2-5 方式と呼ばれる呼吸法があります。横隔膜を使って5秒間息を吸います。そのまま2秒間息を止め、さらに5秒かけて息を吐きます。これを5回繰り返します。[7]
    • 紙袋の中に息を吐くという方法は今ではあまり推奨されていません。以前に信じられていたほどの効果はなく、むしろ有害と考えられています。
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    処方薬を服用する 一般的に、パニック発作を止めるには、抗不安薬であるベンゾジアゼピン系の経口剤の服用が最も効果的です。[8]
    • ベンゾジアゼピン系に分類されるパニック発作の薬としてよく使われるものに、アルプラゾラム、ロラゼパム、ジアゼパムなどがあります。これらの薬剤は効き目が非常に早く、10分から30分以内にパニック発作の症状を緩和します。[9]
    • 上記以外のベンゾジアゼピン系の処方薬には、クロナゼパム、クロルジアゼポキシド、オキサゼパムなどがあります。これらの薬剤は効き始めがやや遅く、そのかわり血中に長時間残ります。[10]
    • 上記の薬剤は低用量で処方されます。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などの別の薬や認知行動療法によってパニック発作をある程度コントロールできるようになるまで、定期的に服用します。[11]
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    日常生活を続ける パニック発作に飲み込まれないように、普段の仕事や日課は、なるべくそのまま継続しましょう。[12]
    • 話や動作はそのまま続け、思考に意識を集中します。そうすることによって、危険もなく、警戒の必要もない、つまり「闘争・逃走モード」に突入する理由がないというメッセージを脳に送り、パニックを鎮めます。[13]
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    その場から逃げない 特定の場所、例えば食料品店などで発作が起きた場合、早急にその場を逃げ出し、店から出ていきたくなるかもしれません。[14]
    • その場に留まって症状を抑えると、店には実際に脅威はないことを脳に認識させる訓練になります。[15]
    • 逃げ出してしまうと、脳はその店、場合によってはすべての食料品店を危険と結び付けて認識してしまい、食料品店に入るたびにパニック発作が起きそうな感覚を覚えるかもしれません。[16]
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    他のことに意識を集中する カウンセラーや療法士の助けを借りて、自然に意識を集中してパニック発作を抑える方法を学びましょう。[17]
    • 例えば、温かいものや冷たいものを飲む、ちょっと散歩をする、好きな歌を歌う、友達と話をする、テレビを見る、などが良いでしょう。
    • パニック発作以外のことに集中するには、ストレッチやパズルをする、室温を変える、車に乗っていれば窓を開ける、外に出て風にあたる、興味のある本を読む、などが効果的です。
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    ストレス体験とパニック発作を区別する どちらも、血圧上昇、発汗、心拍数の増加といった身体反応を引き起こしますが、この二つは明らかに異なる事象です。
    • ストレス体験は誰の身にも起こります。パニック発作時と同様に、ストレスのかかる状況や不安を覚える状況では自然に闘争・逃走反応が起こりますが、必ずその反応には、直接関連する引き金、出来事、経験があります。
    • パニック発作は出来事とは関連がなく、予測不能で、恐怖心を伴う激しい発作が特徴です。
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    リラックス法を行う 心を落ち着けるための従来のリラックス法 (インターネットなどで調べてみましょう) を用いて、極度のストレスや不安を伴う経験をコントロールしましょう。
    • パニック発作やパニック障害のある人は、認知行動療法士の治療を受け、パニックが始まっても症状をコントロールできるリラックス法を学ぶと良いでしょう。
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    五感を使って発作に対抗する パニック発作 (不安発作) が起こったり、ストレスのかかる状況にさらされた場合、ほんの短い時間でも五感に意識を集中すれば、起こりつつある不快な身体症状を落ち着けることができます。[18]
    • 目を凝らし、すぐ近くにある心地の良いものを見つけましょう。危険がなければその場で目を閉じて、気持ちが落ち着く大好きなもの (花、絵画、海岸など) を思い浮かべます。[19]
    • 立ち止まって周りの音に聞き耳を立てましょう。遠くから聴こえる音楽、鳥の声、風や雨の音、または近くの道路を通る車の音でも構いません。心臓の鼓動やストレスを引き起こしている音ではなく、それ以外の新しい音を聞き取ってみましょう。[20]
    • 続いて嗅覚を使い、室内にいれば料理の匂い、屋外であれば雨や空気の匂いなど、周りの匂いを意識してみましょう。[21]
    • 触覚を研ぎ澄ませましょう。自分では気付いていなくても、身体は常に何かに触れています。座っていれば、椅子の感触はどのようなものか、腕の下にある机は暖かいのか冷たいのか、または顔にそよ風が当たっているか、といった事柄に意識を集中しましょう。[22]
    • 数分でも自分の五感で感じることを確認することで、パニック、不安、ストレスへの意識を逸らすことができます。
    • 明らかに、この方法はパニック、不安、ストレスなどの根本的な解決にはなりませんが、五感へ意識を集中することで、今起こっている不快な身体反応をある程度はコントロールできます。
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パート2(全2パート):発作の予防

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    発作について主治医に相談する 主治医が自ら適切な投薬で治療を行う場合もあれば、精神衛生の専門医を紹介して、診断と処方を依頼する場合もあります。いずれにしても、認知行動療法士の治療を勧められる可能性が高いでしょう。
    • 大抵の場合、パニック発作の原因として、他の潜在的な病気(精神疾患や器質的疾患) が考えられます。主治医に相談し、疾患の可能性がないかを確かめましょう。
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    なるべく早く医師に相談する パニック発作やパニック障害の治療を早く始めた人ほど合併症のリスクが低く、全体的に経過が良好であるという研究結果が出ています。[23]
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    処方薬は指示通りに服用する 一般的に処方されるのはベンゾジアゼピン系の薬剤で、即効性のものと中時間作用型のものがあります。[24]
    • ベンゾジアゼピン系の薬剤は依存性が高いため、必ず医師に指導された用量を守りましょう。過剰摂取は危険で、慢性的に服用すると、命にかかわる深刻な離脱作用を引き起こすことがあります。
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    即効性のある薬剤は必要な時にだけ服用する 即効型の薬剤は、パニック発作が始まりそうな時に服用するものです。基本的に、こういった処方薬は必要な時や発作が始まった時にのみ服用しましょう。[25]
    • 既定の用量で耐性ができないように、即効性の薬剤は本当に必要な時にだけ服用しましょう。
    • 発作時や必要な時にだけ服用する処方薬には、ロラゼパム、アルプラゾラム、ジアゼパムなどがあります。
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    長時間作用薬を定期的に、もしくは処方通りに服用する 中時間作用薬は効き始めるまでに少し時間がかかりますが、効果が長時間持続します。
    • 一般的に、こういった処方薬は定期的に服用するもので、認知行動療法などの治療の効果が出るまでの間、発作を避けるために使われます。[26]
    • 中時間作用型の薬剤には、クロナゼパム、オキサゼパム、クロルジアゼポキシドなどがあります。
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    SSRIを服用する 選択的セロトニン再取り込み阻害薬 (SSRI) は、パニック発作やパニック障害の治療に効果を発揮します。[27]
    • パニック症状の治療薬としてFDA (米国食品医薬品局) の認可を受けたSSRIには、フルオキセチン、フルボキサミン、シタロプラム、エスシタロプラム、パロキセチン、セルトラリンなどがあります。デュロキセチンも非常によく似た薬剤で、パニック症状の治療での投与が認められています。[28]
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    認知行動療法家の指導を受ける この治療のポイントは、パニック発作を乗り越えられるように脳と身体をトレーニングして、最終的には発作が全く出ないようにすることです。[29]
    • 認知行動療法の効果について学びましょう。心理療法の訓練を積んだ療法士は、以下に挙げる5つの基本方針に従ってパニック障害の治療を行います。[30]
    • 病気を理解する: しかるべき知識を身に着けておけば、いざ発作が起こった時にも、状況を把握してその恐ろしい症状の原因を深く理解できます。[31]
    • 病気を記録する: 発作の様子を観察し、発作が起こった日付と時間を日記に記録しておけば、みなさんにとっても、治療者にとっても、発作の引き金となるものを特定しやすくなります。[32]
    • 呼吸法とリラックス法: 呼吸法もまた症状の緩和に欠かせないツールです。[33]
    • 再考: 対話療法によって、パニック発作についての認識を破滅的なものから現実的なものへと改めます。[34]
    • 追体験: 安全でコントロール可能な状態で、あえて発作の引き金となる場所や出来事を経験することによって、脳や身体が異なる反応をするように訓練します。[35]
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    パニック障害の検査を受ける パート1の冒頭で挙げた症状のうち、4つ以上が表れるとパニック障害と診断されます。[36]
    • パニック障害の治療は、早く始めるほど経過が良好になり、将来的な合併症のリスクを減らすことができます。
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ポイント

  • 重篤な心臓疾患や甲状腺疾患の症状には、パニック発作のように見えるものがあります。
  • 他の病気の可能性を排除するために、主治医に診察の予約を入れましょう。
  • パニック発作の治療はなるべく早く始めましょう。
  • 発作を起こして緊急に助けが必要な場合は、家族や仲の良い友達を信じてパニック発作のことを打ち明けましょう。
  • 心身の健康を保ちましょう。健康的な食生活と充分な休息を心掛けましょう。カフェインの多い飲料は避け、充分に運動し、心から楽しめる活動に参加しましょう。
  • ヨガ、瞑想、マインドフルネスなどの新しいリラックス法を学んでみましょう。
  • 発作時は、不愉快な身体感覚ではなく、呼吸に集中することが大切です。発作で気を失いそうな状態では難しそうに思えるかもしれませんが、深呼吸は心身をリラックスさせます。
  • 小耳に挟んだちょっといい言葉や、その場で思いついた素敵な台詞で自分自身と会話してみましょう。「 はっきり言うと、今私はパニックのバカげた声を聞き入れて、自分自身をそこに閉じ込めている。でも私はちゃんとパニックの本質を見抜いて、落ち着いてそいつを止めることができる」。
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このwikiHow記事について

家庭医(かかりつけ医)
この記事はTapan Abrol, MDが共著しています。 アブロル医師はニューヨーク州にあるマウント・シナイ・アイカーン医科大学にて運動障害の研究を行っています。2017年にルイビル大学にて神経学の臨床研修を修了しています。
  1. http://www.vhpharmsci.com/vhformulary/tools/benzodiazepines-comparison.htm
  2. http://www.vhpharmsci.com/vhformulary/tools/benzodiazepines-comparison.htm
  3. https://www.adaa.org/sites/default/files/CBT-for-Panic-Disorder.ppt
  4. https://www.adaa.org/sites/default/files/CBT-for-Panic-Disorder.ppt
  5. https://www.adaa.org/sites/default/files/CBT-for-Panic-Disorder.ppt
  6. https://www.adaa.org/sites/default/files/CBT-for-Panic-Disorder.ppt
  7. https://www.adaa.org/sites/default/files/CBT-for-Panic-Disorder.ppt
  8. http://psychcentral.com/lib/tips-to-cope-with-a-panic-attack
  9. http://www.helpguide.org/articles/stress/stress-relief-in-the-moment.htm
  10. http://www.helpguide.org/articles/stress/stress-relief-in-the-moment.htm
  11. http://www.helpguide.org/articles/stress/stress-relief-in-the-moment.htm
  12. http://www.helpguide.org/articles/stress/stress-relief-in-the-moment.htm
  13. http://www.helpguide.org/articles/stress/stress-relief-in-the-moment.htm
  14. http://www.psychiatry.org/panic-disorder
  15. http://www.vhpharmsci.com/vhformulary/tools/benzodiazepines-comparison.htm
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  17. http://www.vhpharmsci.com/vhformulary/tools/benzodiazepines-comparison.htm
  18. http://www.anxieties.com/152/introduction-common-medications-for-anxiety-disorders# .VaPrCZspDcs
  19. http://www.anxieties.com/152/introduction-common-medications-for-anxiety-disorders#.VaPrCZspDcs
  20. http://www.psychiatry.org/panic-disorder
  21. http://www.psychiatry.org/panic-disorder
  22. http://www.psychiatry.org/panic-disorder
  23. http://www.psychiatry.org/panic-disorder
  24. http://www.psychiatry.org/panic-disorder
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  26. http://www.psychiatry.org/panic-disorder
  27. http://www.nlm.nih.gov/medlineplus/ency/article/000924.htm

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