アセクシャルを理解する方法

共同執筆者 Eric A. Samuels, Psy.D.

「アセクシャル」という言葉は、生物学の領域では、自分と同じ遺伝子を持つ子を無性生殖する単細胞生物の様を表します。これが人間の話になると、他人に対して性的な魅力を感じない様を表して使われます。性的な魅力に関して特別な感じ方をする―もっと言えば感じない―ということ以外、アセクシャルの人とそうでない人とに大きな違いはありません。これこそアセクシャリティを理解する際に忘れてはならない大切なことです。

パート1(全2パート):アセクシャルを理解する

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    「アセクシャルである」ことを理解する どんなジェンダーの相手に対しても、性的な魅力を感じることがない人を、アセクシャルと呼びます。ただしアセクシャルであっても、自分の意志で、性交渉をする・人を愛す・恋愛関係を結ぶ・結婚するなどの一般的な人間関係を営むことは出来ます。[1]アセクシャルは、どちらかというと、その人の行動よりも気持ちや感じ方を指しています。アセクシャルの人は、他人に性的な魅力を感じないというだけで、精神的なつながりを求めたり、他人に惹かれたり、性的興奮を覚えることさえあります。[2]
    • 本来アセクシャルであっても、まだレズビアン(女性同性愛者)・ゲイ(男性同性愛者)・ストレート(異性愛者)・バイセクシャル(両性愛者)・パンセクシャル(全性愛者)のいずれかだと認識している人が多くいます。
    • アセクシャリティは、健康状態・薬の服用から生じ得る性的欲求の低さや、自分の性衝動を抑制することとは異なります。[3]
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    アセクシャルの幅を理解する いかなる性的指向もそうであるように、アセクシャルという区分は、それを自認するすべての人を完璧に説明するものではありません。人間は各々個性を持つ固有の存在であり、その性的指向は、必要性・欲求・興味・魅力など様々な要素により広がりを見せます。アセクシャルという単語はあくまで、アセクシャル・グレーアセクシャル・デミセクシャルといった異なる存在を包括的に表現する単語であると認識しましょう。[4]
    • グレーアセクシャルとは、極めて稀に性的な魅力を感じ得る人を指します。「Asexual」は「A」と省略することも出来るため、グレーアセクシャルは「Gray-A」と表記されることもあります。
    • デミセクシャルとは、精神的な絆を築いた親密な相手にのみ性的な魅力を感じ得る人を指します。口語では「デミ」と略されることもあります。
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    節制や禁欲とは区別する 節制として性的活動から遠ざかったり、さらなる禁欲として独身を貫いたりすることは、アセクシャリティとは全く違う「選択」です。これらの選択は、宗教的・哲学的・道徳的ほか様々な理由で行われることがあります。アセクシャルであることは性的魅力を感じないということで、性的な欲求を感じない訳ではありません。つまりアセクシャルであっても以下のことはあてはまる可能性があります。
    • 節制や禁欲をする
    • 自慰を通して性的活動をする
    • パートナーと性的活動をする
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    「アセクシャルではない」ことを理解する アセクシャルは、ヘテロセクシャル・ホモセクシャル・バイセクシャル・パンセクシャルなどほかの性的指向とは異なります。ただしアセクシャルという概念は、生物学的な性別・性自認・性表現とは関係していません。またアセクシャルであっても、アロマンティック(他人に対して恋愛感情を抱かない)とは限りません。
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パート2(全2パート):アセクシャルの人と付き合う

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    様々な形の関係を理解する たとえば友達関係・母娘の関係・父子の関係など、世の中にはプラトニックな(性的でない)人間関係が多く存在するように、性的でない恋愛関係にも様々な形が存在するはずです。アセクシャルの人と付き合うことは、これまで気が付かなった以下のような人間関係を発見する機会になるかもしれません。
    • 性的でない恋愛関係(ハグなどのスキンシップや、真剣な愛情を持つ場合もある。)
    • 性的でなく恋愛ではない関係(互いに人として深く愛し合っている。スキンシップを持つ場合もある。性的・恋愛的な要素はない。)[5]
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    オープンに話し合う どんな状況であれ、付き合うということは互いをもっとよく知るということでもあり、それは相手がアセクシャルの人であったとしても変わりません。あらゆる人間関係の成功は、自由かつオープンに話し合うことで導かれます。いかなる関係においても、個人的な決まりや許容範囲を早めに打ち明け、何が良くて何が良くないのか、互いに望んでいないことは何かということを確認する必要があります。不安なことがあれば、臆せず尋ねてみましょう。
    • 相手がアセクシャルであることを打ち明けられても、自分に魅力がないと落ち込むことはありません。その告白は、関係を終わらせるための口実ではなく、素直で正直な相手の想いです。[6]
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    アセクシャルの人であっても親密になれる アセクシャルの人も恋愛関係や恋愛的なパートナーシップを築くことがありますが、肉体的・性的な交渉を持つかどうかは個人に依ります。しかし、付き合うということは必ずしも肉体的・性的な交渉を含む訳ではありません。性的要素がなくても、強い精神的絆や恋愛関係は築くことができます。ただの肉体的な関係や性的な活動よりも、精神的な親密さのほうが2人にとって大きな意味を持つでしょう。
    • アセクシャルなパートナーが性的活動に対して積極的かどうかは分かりません。互いの理解の足並みが揃うよう、話し合うことが大切です。「性的な悦びを得ること」と「性的な魅力を感じる」ことは違うため、アセクシャルであっても性行為を楽しむ人はいます。
    • 反対に、アセクシャルで、性行為に対して全く興味がなく、性的な関係を持つことを否定する人もいます。
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    変わることを求めない アセクシャルは、ヘテロセクシャルやホモセクシャルと同様に、自らの意志や好みで選ぶことができるものではありません。どこか問題や障害があるという訳でも、暴力や虐待によって生じるものでもありません。アセクシャルを自認している人のどこかをなおす必要などどこにもなく、付き合うパートナーに合わせて変わる必要もありません。
    • アセクシャルの人の中には恋愛関係そのものに興味を抱かず、近しい友人関係や、性的でなく恋愛でもない関係のみを築く人もいます。
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ポイント

  • アセクシャルの旗は四色のボーダーによって表されます。上から順に黒・グレー・白・紫です。
  • 日本語で「アセク」「Aセク」と略されることもあるアセクシャルは、英語圏では「ace(エース)」と呼ばれることが一般的です。この呼び方にちなみ、トランプのスペード・ハート・ダイア・クラブなどのエースがシンボルとして用いられることもあります。
  • アセクシャルの告白(カミングアウト)は簡単ではないということを忘れてはいけません。身近な人にアセクシャルであると告げられた場合、それは相手が自分に対して相当な信頼を置いているということです。自分がそれを知ったということ以外、それまでと何ら変わるべきではありません。
  • 「LGBTQIA」の「A」は「アセクシャル」(ならびに「アロマンティック」「アジェンダ―」)を意味しています。ジェンダーマイノリティーの理解者であることを示す「ally(アライ)」ではありません(もちろんアライを排除している訳ではありません)。
  • 一般的なシンボルとして、「ハートのエース」は恋愛感情を抱くアセクシャルの人を、「スペードのエース」は恋愛感情を抱かないアセクシャル(アロマンティック)の人を表します。
  • アセクシャルのアイデンティティにも多様な種類があります。LGBTならびに他のジェンダーマイノリティーを理解するのが大変でも、気に病むことはありません。
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このwikiHow記事について

臨床心理学者、LGBTQ+専門カウンセラー
この記事はEric A. Samuels, Psy.D.が共著しています。 臨床心理学者のエリック・A・サミュエル医師は、サンフランシスコとオークランド市にて個人クリニックを経営している開業医です。サミュエル医師は男性、若年成人、そして多様な性的指向と性自認に悩む人たちを対象にカウンセリングを行っています。サミュエル医師は2016年に臨床心理専門職大学院、「Wright Institute」から博士号を授与されています。
カテゴリ: 人間関係 | 性的少数者

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